次へつながる取り組みを目指して  ~現場からの試み~

Q1:組合についてお聞かせください

dscn0179当組合は、組合員の受注機会の取引条件の改善を目的に、広島県東部と岡山県西部の地質調査技士4名が団結し、平成25年5月に設立しました。平成26年11月には組合の信頼性向上のため建設業の許可を取得し、現在は地滑り調査や海上ボーリング、建築ボーリングといった地質調査や土質調査の共同受注・斡旋を行っています。組合としてはまだ新しいですが、組合員は地質調査、土質調査、さく井工事等の経験豊富なエキスパート揃いです。また、私自身は学生時代、福山電波工業高校(現・近畿大学附属福山高等学校)にて柔道部に所属し、益田賢三師範の指導を受けるという貴重な体験を通して、困難な状況から脱し、新たな発展に向けて努力する姿勢を学びました。この経験を今後の組織運営にも活かしていければと考えています。

Q2:組合の特徴について教えてください

dscn0461当組合の特徴は、寒冷地域や斜面、砕石の多い場所など、悪条件現場の調査経験が豊富な組合員が多く加入しているところです。悪条件現場の調査は、高度な技術と経験が求められ、危険度も高いことから多くの同業者が調査に苦労しています。地質調査は、災害対策や地域の将来に密接に関連する大事な業務です。他業者が手を挙げない案件こそ、調査の意義においてもビジネスとしても重要であり、こういった案件を積極的に組合で受注していきたいと考えています。
1つの指標として、オールコアでの1cm単位の採取を目標としています。オールコアとは、調査ボーリングの調査方法の1つで、ボーリングを行う際に、コア(地質サンプル)を採取する方法です。施工には高い技術を要しますが、地表面から地中の打ち止め部分までに堆積しているコアを逃がさず採集することにより、その地質・土質を高い精度で把握できるというメリットがあります。通常は数cmの誤差が生じることが一般的ですが、ボーリングで流出する土が少なくなるよう資料を採取する技術の精度を高めることで、誤差1cm以内での採取が可能です。これを実現することで、調査の精度が上がり、最も緻密な技術が必要となる原子力発電所などでも使用できる、レベルの高い地質構造調査もできるようになればと考えています。

Q3:組合のビジョンを聞かせてください

dscf1687地質調査は一般の建築現場はもちろん、東日本大震災や西日本豪雨などの被災地においてもその活動が認められている重要な仕事です。しかし、一般社会においての知名度は低く、若者が憧れを抱くような業界ではないのが現状です。また、長年の経験を持つ技術者の引退や廃業が進んでおり、現場で培った貴重な技術や経験が業界から失われつつあります。これは、事業者の法人化が進んでいるこの業界への新規参入が難しく、経営者が人材育成をする余裕がないことによるものです。このような現状を、組合運営を通じて改善していきたいと考えております。現在は、発注元や同業他社に「当組合がどういった組織なのか」を知っていただいている段階です。今後は、受注・施工実績を積み重ねていくことで発注者からの信頼を得るとともに、組合のメリットや存在意義を同業者に明示し、組合の体制強化を図っていきたいと考えています。そして将来的には、発注元が高品質の仕事を相当量発注できる発注先を確保でき、組合員は安定的な仕事の供給を受けられることで経営に余裕を持てるようになります。当組合は、事業収入を活用し、組合員の技術力や安全性を高める仕組みづくりや、技術承継や人材育成にも力を注ぎ、社会に向けて当業界の魅力を発信することで、業界の未来を担う若者が門戸を叩きやすい、そんな環境作りに寄与していきたいと考えています。